佐藤忠良館 第Ⅰ期 「連続するムーヴメント」
2013年04月13日(土)~2013年07月21日(日)
作家が作品に込めた〈空間〉と〈時間〉
近年にみられる彫刻の定義の一つに、ある一瞬の刹那的な動きや事象を捉えて表現する考え方が多く見受けられます。しかし、佐藤忠良氏は作品の中に瞬間的な動作だけでなく、対象となる中にモデルの人間性や過去・現在・未来を含めた〈空間〉と〈時間〉も表現しようとしています。
例えば、《足なげる女》と《水》、どちらも特徴的なポーズが目を引く作品です。この2作品は、実はモデルが同じ女性です。《木曾》(1955年)という頭像作品のモデルでもある彼女は、木材を扱う家に育ったそうで、アトリエで相撲をとる石膏屋さんが負けるほど力強い女性であり、その反面、絵も描く素朴で明るく、気取らない奔放なポーズが次から次とでるような女性だったそうです。佐藤氏も、この女性のそんな魅力に引きずられて、作品を生み出していたと語っています。【註】
そんな彼女の性格や人生を想像しながら作品を見るのは、感慨深いものです。
作品を鑑賞するとき、その形状や姿態から何をしているところかを考えるのも面白いですが、モデルの何気ない仕草や表情から、その人物の過去や未来を含めた〈空間〉と〈時間〉を読み取るのも作品鑑賞の方法の一つです。作品からあふれ出る人間味の世界、ご堪能ください。
【註】「作品にそろえて」(『彫刻・佐藤忠良 1949-1971』、1971年11月)


