秋は、夕暮れ。 | 佐川美術館

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秋は、夕暮れ。

9月が始まりましたね!

薄いブルーの空にはうろこ雲が広がり、爽やかな風が吹いて空気が澄みきり、

だんだんと秋の気配を感じる今日この頃ですね。

そして、日の入りが早くなるのを感じませんか?

 

実は、あまりにキレイな初秋の夕焼けを佐川美術館で見たので紹介したいと思います。

 

薄桃色に染まる美術館

 

閉館後の静まりかえった気配の中、ほんのりとピンク色に染まった水庭や美術館です。

叙情的な雰囲気を湛えていますよね。

 

味わい深い夕暮れ

 

さて、秋は夕暮れが1番である、と述べていた日本の先人をご存知ですか?

 

平安時代中期の歌人である、清少納言です。彼女は、代表作である『枕草子』でこう述べています。

 

「秋は夕暮れ。夕日のさして山の端いと近うなりたるに、烏の寝所へ行くとて、三つ四つ、二つ三つなど飛び急ぐさへあはれなり。まいて、雁などの連ねたるが、いと小さく見ゆるは、いとをかし。日入り果てて、風の音、虫の音など、はた言ふべきにあらず。 」

 

現代語訳:

秋は、夕暮れ。夕日が赤々と射して、今にも山の稜線に沈もうというころ、カラスがねぐらへ帰ろうと、三つ四つ二つ三つなど思い思いに急ぐのさえ、しみじみと心にしみる。まして、カリなどで列を連ねて渡っていくのが、遥か遠くに小さく見えるのは、なかなかにおもしろい。すっかり日が落ちてしまって、風の音、虫の音などがさまざまにかなでるのは、もうことばに尽くせない。(『枕草子 ビギナーズ・クラシックス 日本の古典』角川書店より )

 

ちなみに清少納言は、それぞれの季節で1番良いと思う時間帯を「春はあけぼの」「夏は夜」「冬はつとめて」と記しています。春は明け方、夏は夜、冬は早朝、に一番趣があるということです。このように四季のうつろひを味わうことができるのは、日本の良いところですよね。日本語の響きも美しく、目の前にその情景が立ち上がってくるようです。

 

いまだけ堪能できる「秋の夕暮れ」。

忙しい日々の中でも、一呼吸おいて味わってみてくださいね。