そば派?うどん派?―浮世絵から探る人気の訳 | 佐川美術館

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そば派?うどん派?―浮世絵から探る人気の訳

紅葉が美しく色づく中、「百花繚乱 浮世絵十人絵師展」は、連日沢山のお客様にお越し頂いています。ありがとうございます。

 

秋といえば、食欲の秋!

今回は、浮世絵に登場する食べ物について紹介します。

実は、頻繁に描かれているのが【蕎麦】です。

 

歌川国貞の傑作の一つである《神無月はつ雪のそうか》では、雪が降りしきる夜、蕎麦屋の屋台に集まり、温かい蕎麦で暖をとる複数の女性が描かれています。

 

 

臨場感ある名作

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

当時、江戸では蕎麦が大大大人気!旅の道中をはじめ、歌舞伎を観劇する際や小腹を満たしたい時、安価で気軽に食べることができたのです。そういえば、大衆が普段食べているものが登場する落語にも、よく蕎麦が登場します。「時そば」「そば清」「そばの殿様」など有名な演目ですよね。また、浮世絵1枚が当時かけ蕎麦1杯程度(20文、約400円)だったという例えも知られています。

 

他に、歌川国芳の《木曽街道六十九次之内 守山 達磨大師》では、琵琶湖を背景にした近江国守山宿(現在の滋賀県守山市)にある蕎麦屋で、達磨が勢いよく盛り蕎麦をたいらげていく様子が描かれています。

 

すごい食欲!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ところが、当時の関西では、蕎麦より【うどん】が人気だったようです。

(いまでもそうですよね!)

なぜ、関西圏である滋賀県を舞台に蕎麦屋を描いたのでしょうか?

 

いわれとしては、比叡山延暦寺をはじめ多くの寺院を擁する滋賀県は、全国の僧や山伏が集う場所でした。当時、修行をする時に五穀を食べることは禁じられており、その代わりに蕎麦栽培をして食いつなぎ、修行を全うしたそうです。そこから、滋賀県内の民衆にも蕎麦の人気が広まったとのことです。

 

ちなみに近江八幡には、広大なそば畑がありますよ~!青い秋空に白いそばの花が映えますね。

 

雄大なそば畑

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

佐川美術館のすぐ近くには、"かま久"という地元で有名な蕎麦屋さんがあります。そしてある特典があるので紹介します。「百花繚乱 浮世絵十人絵師展」の期間中、"かま久"でご飯を食べてこちらにお越しいただく際には、レシートをご提示ください。1グループ全員其々200円引きになります!

 

歌川国貞の傑作の《神無月はつ雪のそうか》、歌川国芳の《木曽街道六十九次之内 守山 達磨大師》は後期展示でもご覧いただけますので、ご安心を!

 

 "かま久"と佐川美術館で食欲の秋、芸術の秋ともに堪能し、素敵な1日を過ごしていただけましたら嬉しく思います。