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画家の一族・ブリューゲル

西洋美術の展覧会に行くと、よく「ブリューゲル(父)」、「ブリューゲル(子)」といった表記を目にすることはありませんか?

え?同じ名前の人?と思いますが、ヨーロッパでは親の名前と同じ名前を子どもに付けることは珍しくありません。といっても、誰が描いたのか区別するために、(父)やら、(子)といった表記をするのです。

 

ブリューゲル一族といえば、16~17世紀のヨーロッパにおいて最も有名で影響力を持った画家一族として知られています。今回の「神聖ローマ帝国皇帝 ルドルフ2世の驚異の世界展」でも、一族のうちヤン・ブリューゲル(父)とヤン・ブリューゲル(子)の作品が1点ずつ出品されています。

 

このブリューゲルという一族、16~17世紀のフランドル地方(今のオランダ南部、ベルギー西部、フランス北部にかけての地域)の絵画を紹介する展覧会では必ずといっていいほど、名前を目にすることが多いのですが、各画家によって得意とする画題が違います。

 

ヤン・ブリューゲル(父)は、花や果物といった静物画を得意とし、花のブリューゲルと称されるほどでした。出品されている《陶製の花瓶に生けられた小さな花束》(c.1607)は、サイズは51.0×40.0㎝と大きくはありませんが、非常に繊細な筆致によって花々が描かれています。本作はルドルフ2世の弟・オーストリア大公アルブレヒトと、スペイン国王フェリペ2世の娘・イザベル夫妻のために描かれたものです。

 

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ヤン・ブリューゲル(子)は前述の父のもとで修行し、風景画や寓意画を得意とした画家です。しばしば父の例に倣って同じ構図の作品を制作しました。寓意画とは、抽象的で曖昧な概念を擬人化したり、具体的なものに置き換えて描かれた画のことです。今展に出品されている《大地と水の寓意》(1630年、ヘンドリック・ファン・バーレンとの共作)には、豊穣の女神ケレスと海の女神アンフィトリテが描かれています。女神に加え、魚や野菜、果物といった大地と水を象徴するものが描かれており、まさに寓意画といえる作品です。

 

 是非、ご来館いただきお近くでご観賞ください!

 

今展には、ブリューゲル一族の他にも、当時プラハの芸術界を席巻していたベルギー・アントワープ出身の画家・ファルケンボルフ一族の作品が出品されています。

 

展覧会も残すところ、あと1週間とわずか。日本での巡回展は滋賀会場が最後ですので、是非お見逃しなく!