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日本画ワークショップ≪日本画の画材を学ぶ―知る・作る・使う―≫開催報告
終了

2012年06月09日(土)~2012年06月10日(日)

2012年6月9日(土)、10日(日)の両日、≪日本画の画材を学ぶ―知る・作る・使う―≫を開催いたしました。
今回で6回目となるこの日本画ワークショップは、京都市立芸術大学日本画研究室の川嶋渉先生、日影圭先生と定家亜由子先生の企画のもと、教育の一環として同大学の学生及び卒業生も参加する中、画材メーカーの株式会社吉祥様、紙工メーカーの株式会社ケーエス様にご協力いただいて開催され、両日合わせて51名の方にご参加いただきました。
本報告は、スタッフとして参加いたしました高野純子がご報告いたします。

美術を学び表現する人、美術に対する要望に応え、場所や素材を提供する人、美術について知りたい人、三者の思いが集まって初めてできる貴重な環境を前に期待が高まります。

会場には、日本画の画材、顔料・墨・膠(にかわ)・筆・紙といったさまざまな品物が所狭しと並べられ、まず、各々の先生方から日本画の画材を≪知る≫ための講義を聴いていただきました。日本画を学ぶ学生でもなかなかこれだけのものを見ることができる機会はないと思えるほど豪華な資料の数々を、手に取って、触って、体感していただきました。
世界中のあちこちに残る洞窟壁画などの遺産に使われている材料と、現在も使われている日本画の材料は、本質的にほとんど変わりません。しかし、大陸から伝わってきたその材料や技法は、今でも変わらず受け継がれているのは日本だけです。自然や風土を愛し、尊重してきた日本人の感性がこの素材と合っていたからなのかもしれません。
そんなお話を聴いていただく中、先日梅雨入りしたばかりのワークショップ初日のお天気は雨。恵みの雨は、きっと今もどこかで、目の前に並ぶ数々の素材を育んでいるのでしょう。

一通り講義を聴いていただいた後は、日本画の画材を≪作る≫行程に入ります。
今さっき見ていただいた絵の具の原料の一つである孔雀石を、ご自身で乳鉢を使って砕き、緑青(ろくしょう)の絵の具を作っていただきます。
普段ならば閑静であろう美術館内にガリガリと岩絵の具を砕く音が響きます。
今回は、あらかじめ途中まで砕いて準備されたものを使っていただきましたが、それでも、硬い石を滑らかに、きれいな絵の具になるようにと乳鉢ですり続けるのは、なかなか根気と力の要る作業です。
皆様お疲れかと思いきや、途中で休憩をとられる方も少なく、楽しげな表情が沢山見受けられたのが印象的でした。
砕き終えた絵の具に膠と水を加え、指でしっかり混ぜ、しばらく置いて、上澄みを捨て...を数回行い、より鮮やかな絵の具を作るための工程を体験していただきました。

やっとできたそれぞれのお手製緑青を使って、いよいよ日本画の画材を≪使う≫作品作りです。
先生方の指導を受け、お手本を見ながら、日本画の伝統的な技法である"垂らし込み"を用いて作品を作ります。
初めに墨をすり、少量を絵皿に取り分けて薄墨を作ります。
薄墨でもみじの幹を描き、濃い墨や緑青を筆に含ませて、乾ききらない薄墨の上に落とすと、紙の表面の水分によって、落とした墨や絵の具がふわっと広がり、独特の模様を描きます。
「この辺、いい感じになってるやん。」「あら、うまくいかへん。絵の具が少なかったかな?」お互いの作品を見て、様々な感想が出てきます。
今回挑戦していただいた"垂らし込み"は水によって描かれるもの。同じように描いても、水分の量、筆にとる絵の具の量のちょっとした変化が影響し、一つとして同じものはできません。筆先が画面に触れる瞬間、どのような表情ができるのか、傍で拝見している私たちにも緊張が伝わります。 続いて、配られた別の岩絵の具も使って、もみじの葉を描いていきます。こちらも筆の運び方に工夫が必要とあって、先生方や学生スタッフが丁寧に見て回ります。
バランスを見て、葉脈を描いたら完成です。

長時間のワークショップでしたが、皆様それぞれに出来上がった色紙を眺める表情がとても晴れやかで、こちらも心温まる思いがいたしました。
ご参加いただきました皆様、お疲れ様でした。

ありがとうございました。