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展覧会

吉左衞門X 新兵衛の樂 吉左衞門の萩
終了

2014年09月27日(土)~2015年03月29日(日)

第6回目となる吉左衞門Xでは、萩焼・十五代坂倉新兵衛氏と樂焼・十五代樂吉左衞門氏とのクロストーク・コラボレーション展を開催いたします。

新兵衛の樂 吉左衞門の萩

 

今回、坂倉氏は樂焼に、樂氏は萩焼に挑戦。それぞれ、相手方の製作法を用いて制作します。

 

言うまでもなく樂焼と萩焼はどちらも400年あまりの伝統を有し、茶の湯の分野に大きな足跡を残してきました。しかし、二つの茶陶は全く異なる方法により制作されています。樂焼は手捏ね制作、轆轤を一切使用せず手捏ねで原形を造り、篦で削りあげて造形します。また、その焼成は鞴(フイゴ)を用いた小さな内窯で一碗ずつ焼き上げる内窯焼成とよばれる樂家独特の製作法を取ってきました。一方、萩焼は轆轤制作、樂焼とは対照的な登窯焼成を行います。

 

樂焼は手捏ねで原形を造る工程と、それを篦で削る工程から成り立っています。それは轆轤制作に比して長い制作時間を要し、轆轤という制約がない分、自己表現としての自由さがはるかに大きいと言えます。一方、萩焼は轆轤の回転の中で、瞬間的な手の動きにより形が生み出されていきます。長時間の対峙的な持続ではなく、むしろ瞬時の中の緊張と身体的なリズムをとおして、自己の表現を確立していきます。樂焼の持続的な思考と自己表現の自由さと、萩焼の瞬間的な緊張と身体的な思考との対峙。

 

焼物にとって、制作、つまり技術は単なるノウハウではなく、その中にそれぞれの焼物の本質が宿っていると言えます。それぞれ制作者は、手捏ねとは、轆轤制作とは、どのような意味を持ち、どのような表現が可能なのかを突き詰めます。それは単なる技術的な事柄ではなく、焼物の本質、造形の根幹に関わるコンセプトなのです。

 

今回、二人の作家のクロストーク―互いに異なる製作法を用いて制作することにより、互いの本質が浮かび上がります。

 

黒樂茶碗 坂倉新兵衛作萩焼茶碗 樂吉左衞門作

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今回の企画を提案した樂氏、それに応えた坂倉氏は、東京藝術大学彫刻科の同窓生です。若き頃、彫刻を学んだ親友にして、共に伝統を受け継ぐ家で育った、十五代目同士。

本企画展は、互いをよく知る間柄であるからこそ成立したコラボレーションであり、冒険的かつ刺激的な試みと言えます。

 

 

坂倉新兵衛氏の公式ホームページ
http://sakakurashinbe.com/