menu botton

展覧会

培広庵コレクション 華麗なる美人画
終了

2016年02月20日(土)~2016年04月10日(日)

古今東西、絵画の主要なモチーフとして様々な女性像が描かれてきました。日本画の領域において、とりわけ「美人画」と呼ばれるジャンルは多くの人の眼を楽しませ、愛玩されてきました。

そもそも、美人画のルーツを辿ると、古くは正倉院宝物の《鳥毛立女屏風》にみられるふくよかな天平美人や、《源氏物語絵巻》にみる引目鉤鼻の平安美人にまでその源流をたどる事ができます。その後、時代とともに女性の美は移り変わり、とりわけ明治以降の近代化が進む中で、西洋文化の流入により女性に対する美意識の基準は多様化しました。

しかしながら、今日私たちの抱く美人画のイメージとして最も近いものは、江戸時代の風俗画の傑作、《彦根屏風》や菱川師宣の《見返り美人図》に代表される浮世絵に描かれた美人ではないでしょうか。近代美人画の大家である鏑木清方が歌川派の流れを汲む水野年方に師事していたことからも、近代美人画と浮世絵との関係性を見逃すことはできません。

女性の艶やかさとともに、描かれた時代の流行の風俗を取り入れ、着物や背景に日本の伝統的な美や四季の情景を取り入れた美人画は、今も多くの人々を魅了してやみません。

本展では日本有数の美人画コレクター培広庵が所蔵する作品により、明治から昭和期にかけて描かれた珠玉の名品を紹介します。鏑木清方、上村松園をはじめ、鏑木門下の伊東深水、寺島紫明など美人画の黄金期を築き上げた画家たちの華麗なる女性美の競演から、京都、大阪、北陸、東京の画壇で活躍した画家たちが追い求めた理想の女性美に迫ります。また、日本の四季や雪月花といった伝統美に彩られ、豊かな叙情性により表現された女性像という観点から、近代美人画のもつ魅力に気づいていただければ幸いです。

 

展覧会構成

 

第1章  東京の画壇

明治22年の東京美術学校の開校などにより、政治のみならず芸術の面でも近代化が進むなか、首都東京は、近代美術の中心地として位置付けられ、様々な画家を輩出しました。

《翠影》 鏑木清方 1917年

なかでも、鏑木清方の《翠影》には抒情味あふれる清方ならではの女性表現が見られ、伊東深水の《薄暮》には現実感あふれる庶民的な女性の姿が描かれています。江戸時代よりこの地で培われた浮世絵の影響を色濃く受けたこれらの美人画から、東京の地で育まれた粋な庶民文化と美人画との関係にご注目ください。

 

第2章  大阪の画壇

     鏑木清方たち東京の画壇では、美人画にドラマチックな表現、叙情性が多分に盛り込まれていましたが、大阪の画壇では、江戸時代より発達した浄瑠璃や文楽などの芸能により、 独自の様式の美人画が生み出されました。

なかでも、北野恒富は大阪画壇の《舞妓》などの巧緻で洗練された美人画を描き、新風を吹き込みました。また彼の画風に影響を受けた島成園の手がけた《化粧》からは、大阪画壇における北野の存在の大きさをうかがうことができます。

また化粧法や衣服の着こなしなどファッションの面にも、東京、大阪画壇の作品の間に違いがあることから、東西文化の違いにもご注目ください。

 

第3章  京都の画壇

《今様官女図》 幸野楳嶺 明治初期    明治期、京都ではいちはやく芸術の近代化が進められ、明治13(1880)年

    に京都府画学校が創設されました。その後、円山派、四条派の流れを汲む

    幸野楳嶺の私塾が京都画壇をリードするようになり、美人画で名を馳せた

    上村松園など多くの画家を輩出しました。また京都は古来、文化の中心地

     とされてきたことから、古きものと新しきものがともに共生する地であり、

    舞 妓や大原女などから近世初期の風俗画の世界を学んだ土田麦僊の作品、

    そして幸野の《今様官女図》はまさにその特色が顕著にあらわされた作品で

    す。

 

 

  第4章 北陸の画壇

 《舞妓》 北野恒富 昭和前期大阪の画壇をリードした北野恒富を輩出した北陸地域において、紺谷光俊の

   《若菜摘み》は伝統 工芸の豊かさに裏付けさ

   れたきめ細かな表現が見られます。紺谷は竹

   内栖鳳とともに京都画壇の重鎮として活躍し

   た山本春挙に師事しながらも、自らの画風を

   築き上げました。京都や大阪画壇の影響を

   色濃 く受けながらも、独自の発展を示して

   きた北陸画壇の作品にご注目ください。

 

 

 

《桜狩の図》 上村松園 1935年

みどころ

 

 

・四季折々の景物と美人画が折りなす美

 

季節の風物詩として春の桜、夏の浴衣、秋の紅葉、冬の雪など四季を象徴する景物が描きこまれた美人画が展示されます。

日本美術のなかで、いかに季節感が大切にされてきたかをご覧いただけます。とくに上村松園によって描かれた≪桜狩の図≫では、足元に散る桜の花びら、町家の令嬢らしき女性の持つ傘に降った一枚の花びらが作り出す優雅な情景は、まさに四季の彩りに美を見出す日本人の思潮に沿うものです。

 

 

 

・東の清方、西の松園による美の競演

 

江戸や明治初期の東京の風俗を愛し、叙情味豊かな作品を数多く残した東京画壇の巨匠、鏑木清方と優美で気品のある美人画を数多く手がけ、戦後まもなく女性として初の文化勲章を受けた上村松園の作品をご覧いただけます。日本近代絵画の発展において、 大きく貢献を果たした東と西の巨匠の作品から、美人画のもつ魅力を感じ取って頂けます。

 

 

《若菜摘み》 紺谷光俊 1930年 ・東京、京都、大阪、北陸の四画壇の美人画を一挙に公開

 

 日本近代絵画の発展を支えてきた東京、京都、大阪、北陸の四つの画壇の作

 品が一堂に会します。明治以降、国内の中心地として近代化が進められた東

 京、古来文化の中心地とされてきた京都、また浄瑠璃や文楽などの芸能によ

 り独自の文化を花咲かせた大阪、伝統工芸の歴史を背景にもつ北陸という

 四つの地域で育まれた画壇の作品をご覧いただけます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 展覧会関連イベント

 ギャラリートーク

日時:2月27日(土)、3月5日(土)、3月19日(土)

いずれも13:00より、聴講無料(ただし入館料が必要です。)

 会場:特別企画展

 

 

◆開館時間: 午前9時30分 ~ 午後5時(入館は午後4時30分まで)

◆休  館  日: 月曜日(祝日の場合は翌日)

◆入  館  料: 一般¥1,000(¥800)/ 高大生¥600(¥400)

(  )内は20名以上の割引料金

  中学生以下は無料  ※ただし保護者の同伴が必要

          ※ 専門学校・専修学校は大学に準じる

          ※ 障害者手帳をお持ちの方(手帳をご提示ください)、

                                  付添者(1名のみ)無料

◆主   催: 公益財団法人佐川美術館、京都新聞

◆特別協力: 培広庵

◆後   援: 滋賀県、滋賀県教育委員会、守山市、守山市教育委員会

◆協   力: SGホールディングス、佐川急便、佐川印刷