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展覧会

吉左衞門X 樂吉左衞門 樂篤人 樂雅臣  ― 初めての、そして最後の親子展 ―
終了

2016年04月16日(土)~2016年08月28日(日)

第7回目となる吉左衞門Xでは、桃山時代に樂茶碗を造り出した初代長次郎以来、400年余りにわたり技と精神を守り続けてきた「伝統の家」樂家に焦点を当て、15代当主・樂吉左衞門氏とその二人の子息、篤人氏、雅臣氏の作品を展観いたします。伝統に立脚しながらそこに安住することなく、常に斬新な造形美の世界を表現し続けている当代吉左衞門氏の茶碗。未来を背負って次なる16代を継承することになる 惣吉・篤人氏の茶碗。樂家を出て造形の道を進む次男・雅臣氏の石彫。

 

伝統とは技や精神を後代に伝え、受け継がれていくことです。その点において西洋のマエストロの伝統も同じと言えます。その中でも重要なファクターをなすのが親から子へと血脈を繋ぐ「家」制度です。日本には何代にも受け継がれた伝統の家が多くあります。その中で長い歴史を通じて絶えることなく血脈が受け継がれ、各時代の作品を残しているのは極めてまれなことであり、樂家はその特筆すべき歴史をもつ希少な「伝統の家」であると言えます。

 

「樂家」という伝統の家に生まれ、今の時代に生かされ、それぞれの葛藤を通し自らの人生を歩んでいく三氏。当代吉左衞門氏は今年67歳を迎え、人生後半に向けさらなる一歩を深め、篤人氏はやがて背負うこととなる当代の重責に向かって邁進精進の日々、また樂家を離れすでに彫刻家として活躍している次男雅臣氏は、2014年の個展「ひつ〜stone box〜」において上下に分かれる合子状とも言える中空の石彫を発表しました。茶道美術における蓋物、香合にも共通するこのような形状は、今までの石彫には見られない独自なもの、これも樂家で育った環境が大きく影響を与えていると考えられます。

 

本展は「樂家」という伝統の家に生まれ育った父子三様の取り組みが、それぞれの人生とともに本展で出合い、また個別な人生を歩んでまいります。まさに初めての、そして最後の親子展です。

 

それぞれの取り組みを通じ樂家父子の深い創造への思い、さらに伝統の家族に貫かれている生きようをご覧いただきます。

 

 左/焼貫黒樂茶碗 樂吉左衞門 右/黒樂平茶碗 樂篤人 奥/輪廻 扇 樂雅臣

 

 

 


 

樂 篤人(惣吉・次期16代)

昭和56(1981)年、15代吉左衞門の長男として生まれる。

東京造形大学彫刻科を卒業。ロンドン研修等を経て帰国後、樂家で制作を行う。

昨年、日本国内での発表に先がけ、ロサンゼルス・カウンティ美術館、サンクトペテルブルク・エルミタージュ美術館、モスクワ・プーシキン美術館で開催された、「樂 茶碗の中の宇宙」展に赤樂、黒樂茶碗12点を出品、デビュー展となった。本展は篤人氏の日本国内で初めての作品発表となる。樂美術館の学芸顧問として展覧会事業にも参画、樂歴代の解説図版書「定本・樂歴代」(淡交社刊)に歴代の解説など執筆活動もしている。

 

 

赤樂茶碗 樂篤人

 

 

 

樂 雅臣

昭和58(1983)年、15代吉左衞門の次男として生まれる。

東京造形大学大学院美術研究領域造形研究科修了。樂家より独立し、石彫の制作を行う。

平成19年より建設された佐川美術館/樂吉左衞門館の茶室、水露地石組みと蹲いを制作。平成20年に東京銀座みゆき画廊で個展、26年は銀座GALLERY座STONE にて「ひつ〜stone box〜」展、27年には5月には上賀茂神社北神饌所(重要文化財)にて個展、またヴェネツィア・Palazzo Fortunyで行われた企画展「PROPORITO」展に選抜出品するなど国内グループ展のほか海外での活躍も加わる。 

作品は岡田美術館、フェルケール博物館などに収蔵され、ザ・リッツ・カールトン京都、座STONE(東京銀座)、Kagizen ZEN CAFE(京都)、関西学院大学(兵庫)、茶の湯美術館(高山市)などで常設置されている。

 

 

輪廻 樂雅臣