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展覧会

佐藤忠良 彫刻家の眼 -後期作品を中心に-
終了

2016年06月25日(土)~2016年12月04日(日)

佐藤忠良氏は1934年22歳のときに初めて粘土を手にしてから、2011年98歳で亡くなるまで彫刻家として生涯現役で活動しました。70年以上に亘る佐藤氏の仕事を俯瞰すると、比較的年代順で作品の特徴を区別することができます。その中で1970年代の作品群は、それ以前の作風との変化が顕著で、《帽子・夏》(1974)にみられるような当時の風俗を取り入れた作品が多くあります。さらに特筆すべきことは、静的なポーズの中にも「出る力」(作用)と「引く力」(反作用)のバランス感覚が示されていることです。この時代は、佐藤氏の創作活動の中で最も作品を制作し発表した時代にあたります。そんな佐藤氏の制作スタイルに新しい可能性を示したのが野外彫刻でした。それまで彫刻というのは、美術館や画廊での展示を目的とした、限定された屋内スペースでしか鑑賞できませんでしたが、野外に設置することで、公園や広場など日常生活で接する機会が増え、より人々の暮らしに密接なものとなりました。当館所蔵の《夏》(1977)も野外に設置するために制作された作品の1つで、佐藤氏はこの作品を以って具象の野外彫刻における可能性を提示し、1980年代より世の中に広がる「パブリックアート」という芸術概念のもと制作を続けるようになります。野外に設置することを念頭において制作された作品は、それまでの静的なポーズとは異なり、四肢を大きく使った動的イメージであるのが特徴で、身体の動きによって生じた空隙の中に風景を取り込み、彫刻と野外空間の一体化が図られています。今回の展示では、佐藤氏の作風に変化がみられる、1970年代の作品から2000年代に至るまでの後期作品を中心に展示いたします。野外彫刻としてはもちろんのこと、各年代の佐藤作品の持つ特徴にご着目いただければ幸いです。

 

第2展示室

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第3展示室