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展覧会

平山郁夫 シルクロードの景色
終了

2018年03月21日(水)~2018年05月27日(日)

平山郁夫のシルクロードの旅は中国・唐代の高僧、玄奘三蔵(602-664)の旅を追体験するものでした。中国の西安に始まり、天竺まで経典を求める玄奘の足跡を辿ることで、仏教伝来の道を自らの足で確かめたいという思いがそこにありました。ユーラシア大陸をまたにかけて盛んな交易が展開されていたシルクロードは交通の要衝で、古代から現在に至るまで多くの人々が往来し、玄奘も平山もその一人に数えられます。

また平山は東洋のみならず、西洋の文化にも深い関心を示しています。昭和37年(1962)、当時32歳だった平山氏は「第1回ユネスコフェローシップ」受領者としてヨーロッパへ半年間留学をして、昭和48年(1973)には「東京藝術大学イタリア初期ルネッサンス壁画学術調査団」への参加でイタリア・アッシジのサン・フランチェスコ大聖堂の壁画模写のためにヨーロッパを訪れました。その際日本と異なる文化、積み重なる歴史の厚みに魅了されました。

東西の文化に深い関心をもつ平山にとって、東西文化交流の道・シルクロードはその画業において重要な位置にありました。思想や人の心、宗教や文化がラクダの背に積まれた品物と一緒に西から東へと伝えられたことから、平山は悠久の砂漠のなかで歩を進めるラクダとキャラバンをモチーフとする作品を数多く手がけています。その一方で、シルクロードの起点となる中国・西安の街の風景や中央アジア、さらにはヨーロッパに至るまでの様々な町の風景とそこに暮らす人々に取材した平山郁夫作品も当館で所蔵しています。

本展ではギリシャやフランスのようなヨーロッパ諸国をはじめ、中央アジアや西域、中国へと続くシルクロードの広大な範囲に焦点を当てた人物・風景画を中心に展観します。生涯にわたり140回以上もの取材旅行を敢行した平山氏の現地における克明な記録にご注目ください。