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展覧会

佐藤忠良 名作からまなぶ
終了

2018年07月14日(土)~2018年09月17日(月)

芸術におけるオリジナリティとはなにを指すのでしょうか?

 

歴史を振り返ると、多くの芸術家は先人や同時代の芸術家に触発され作品を生み出してきました。例えば「近代彫刻の父」と称されるロダンは、ギリシャのパルテノン神殿の彫刻を制作したフェイデアスや、ルネサンス期の巨匠ミケランジェロの彫刻に影響を受けています。先人の作品の模写や下彫りなどの作業を通して得た基礎的な技術力は、彼ら自身のオリジナリティを生み出すために欠かせないものでした。

 

佐藤は当初画家を志すものの1932年(当時20歳)にフランスの彫刻家ロダン、ブールデル、マイヨール、デスピオらの作品写真を見て彫刻家へと転向します。佐藤と同時代に活躍したイタリアの彫刻家、マンズー、グレコ、クロエッティらの存在も強い刺激となりますが、実際に彼らの作品を目にすることは長い間叶いませんでした。美術雑誌から作品写真を切り抜き、スクラップ収集していたと語っています。

 

第2期「名作からまなぶ」では、約450年前のヨーロッパの伝統的な展示手法を取り入れ、全ての作品を廊下やエントランスホールに移動させ展示します。当時の王候貴族の邸宅の廊下は長大な〈部屋〉としての機能があり、そこは〈ギャラリー〉と名付けられて、主に彫刻や絵画が展示されていました。通常とは異なる展示手法によって、遠く離れた島国である日本で、佐藤が西洋の彫刻作品をどのように咀嚼し自身の創造性を加味してオリジナルのスタイルを築いたのか解き明かします。

 

帽子・夏(1972)