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展覧会

平山郁夫 はるかなる旅路
終了

2019年04月06日(土)~2019年06月30日(日)

生涯にわたり、シルクロードをはじめ世界各地を巡り、その旅先で眼にした様々な光景を描き続けてきた平山郁夫。本展では中国からヨーロッパにかけてのシルクロードを中心に、インドや東南アジアなど世界各地を描いた作品を通して平山の旅の軌跡を辿ります。

若き日の平山は「東西宗教美術の比較」を研究テーマに、6ヶ月間ユネスコのフェローシップ制度の下、ヨーロッパへ留学しました。そこでは心の赴くままにスケッチを手がけ、日本やアジアとは違うヨーロッパの景色を克明につづりました。この時の経験が「東西文化の交流」への関心を高めることになり、シルクロードへ目を向けることになります。

シルクロードの旅路では、荒涼とした砂漠、緑豊かな大地、そして文明の栄枯盛衰を今に伝える遺跡群など、平山の心を捉えたものは多岐に亘りました。その中でも平山郁夫の代名詞とも言える「砂漠」と「ラクダ(キャラバン)」のモチーフは、繰り返し描くことになります。

 

「私は長大なシルクロードの中でも、砂漠地帯に心ひかれるものを覚えます。そこを歩むキャラバンに人生を見るのです。」

(「平山郁夫と大いなるシルクロード」展図録・『大シルクロード』 平山郁夫シルクロード美術館 2008年)

 

はるかなる旅路のシルクロードは、戦争が始まると人々の往来は途絶えてしまいますが、平和が訪れた暁には再びキャラバンが行き交うようになります。15歳の時に広島で被爆し、その後も後遺症に悩まされ続けた平山は、砂漠を進むキャラバンに平和への願いをこめて、このテーマを繰り返し描いてきたのです。