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展覧会

平山郁夫 世界各地の建築
終了

2019年10月01日(火)~2019年12月01日(日)

2019年度平山郁夫館第Ⅲ期展示は、平山郁夫が描いた作品の中から、「世界各地の建築」に焦点を当ててご紹介します。

世界各国を旅して画業を積み重ねてきた平山郁夫。ヨーロッパ、中央アジア、インド、東南アジアなど世界中を訪れ、各地のさまざまな景色を描き続けました。そこには建造物や行く先々の街並などの建築物を描いた作品も少なくありません。

第87回院展に出品された《故城下村民帰牧図》には、インド・ラジャスターン州の州都、ジャイプルより北東11キロに位置する丘上の城塞・アンベール城が描かれています。2001年12月、平山は山肌に食い込むように建てられたこの豪奢な城砦を初めて訪れました。麓から続く急坂を登った先には、ディワニ・アーム(公衆謁見の間)やヒンドゥー教寺院、大理石造にガラス・モザイクが埋められた豪華な私邸などが点在し、かつての栄華を物語るこの城を数多くのスケッチに捉えました。

また、この壮大な城と対比させるかのように、前景には牛を引く農夫の一家が描かれています。平山が市井に暮らすつつましい人々を描いたのは、積み重ねられた歴史の延長線上である今現在を生きるインドの人々を象徴したかったためと言います。400年の歳月を越えて目の前に迫る巨大な故城は、かつての王の繁栄と権力を今に偲ばせる歴史の残像として、平山の目に映ったようです。

平山は悠久の歴史を語る象徴としてこれら世界各地の建築物を描き続けました。本展では「世界各地の建築」と題して平山が描いた建築物を中心に展観し、平山 の持つ歴史観に迫ります。