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展覧会

平山郁夫 ふるさとの風景
終了

2019年12月14日(土)~2020年03月29日(日)

瀬戸内海に浮かぶ生口島で育ち、幼い頃はよく家の裏山に登っては海を眺めていた平山郁夫。光り輝く穏やかな海、緑の多い豊かな自然に囲まれて少年時代を送った平山は、道路をキャンバスがわりにしてロウ石で絵を描いていました。豊かな自然の中で幼い頃に無意識に身についた色彩感覚が、その後の画業にも大きな影響を与えたと平山はふりかえります。

 

「私の絵は、青や緑、金色が、色彩の土台にあるといわれることが多いのですが、それはこれらの色が私にとっていちばん馴染み深いためでしょう。」(※1)

 

平山の感性を育んだ故郷の景色は、現代の技術を迎え入れ、今や新たな様相を示しています。「瀬戸内しまなみ海道」が1999年に全線開通した記念に、平山は《しまなみ海道五十三次》と題して60点の水彩素描画を描き下ろしました。故郷の景色の中で変わりつつあるもの、受け継がれていくものを記録に留めたのです。さらに、第85回院展への出品作《天かける白い橋》は、大島と今治とを結ぶ世界初の三連吊橋、来島海峡大橋を描いた5メートル半にも及ぶ大作です。「青い海に浮かぶ緑の島を縫って伸びゆく白い大橋に発展を託した地元の人々の気持ちをあらわしたかった」(※2)と平山は語ります。

 

展示室の風景

 

平山郁夫没後10年の節目の年にあたり、本展では平山郁夫美術館所蔵のしまなみ海道のシリーズ作を中心に展覧し、平山の感性を育んだ故郷の景色をご紹介します。

 

※1 平山郁夫『私が絵画から学んだこと 日本画の心』 講談社 1995年

※2 平山郁夫『平山郁夫 平成の画業①日本の街道』 講談社 2002年

 

 

平山郁夫美術館公式ホームページ