展覧会

吉左衞門X 深見陶治×十五代吉左衞門・樂直入
開催中 更新

2019年10月01日(火)~2020年03月29日(日)

第10回となる吉左衞門Xは、同世代における最も卓越した日本人陶芸家として海外でも高く評価されている深見陶磁(ふかみすえはる)とのコラボレーション展です。鋳込み技法による青白磁・立体作品で知られる深見陶磁。樂焼による焼貫茶入を提示する樂直入(らくじきにゅう)。茶道具の中でも茶入は最も様式性の高い分野であるにもかかわらず、直入の茶入は、様式規範をまったく逸脱するものです。伝統の中にも常に新しさを追求し続ける両者が競合します。世界最大の大きさに挑戦する深見に対し最小世界を対峙させる直入。両者は、工芸の枠組みを脱し彫刻的な造形へとみごとに昇華させています。

※  直入は十五代吉左衞門の隠居名。今年7月8日に隠居した後、本展は初めての展観となります。

 深見陶治 《青》 2016、十五代吉左衞門・樂直入 《焼貫茶入》 2019

 今回、直入が茶碗ではなく茶入を出品しているのは、茶入が閉じられた形だからという理由です。茶碗は用を持っていて、その形は開かれています。茶入も開いてはいるものの、中に空洞を抱えて蓋がピタッとついています。身と蓋が一つの「用」という課題の中で2つに分かれていないで一体になって閉じています。閉じているということが大事で、それは立体を保持しているということだと直入は言います。そこで、大きな立体の深見作品と対峙させるなら、茶碗よりも、きちっと立体を保持している茶入だと考えました。もう一つの理由は、寸法、つまりサイズ感の問題です。直入は、単に深見作品が大きいから小さい茶入にしようとしたのではなく、物理的なサイズ感を超えることを目指しました。それは、大きな深見作品に対し、小さくてもそのサイズ感を超えて対峙できるという自信の表れと言えます。小さいけれども、きちっと対峙できているとすれば、それは単なる寸法の大小ではなく、作品が存在すること自体の次元に変換されます。それは、直入自身の挑戦でもありました。

深見陶治 《天上ノ景<渡ル>》 1998

           

現在展示中の茶入は、1990年に菊池寛実記念智美術館で開催された展覧会『天問』の出品作品~今年(2019年春)の窯で焼いた新作の計18点です。今まで直入が制作してきた焼貫茶入30年の変遷が観られる稀少な機会ともなっています。中でも、深見作品と同室に展示している焼貫茶入は、本展覧会に向けて制作した新作です。制作手法として用いた襞(ひだ)状の表面は、光や影の揺らぎをより顕著に受けやすいテクスチャーである事のほか、その形態の抽象性を見事に成立させている点も見どころの一つです。

十五代吉左衞門・樂直入 《焼貫茶入》 2019