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展覧会

生誕110年 佐藤忠良展
終了

2022年06月21日(火)~2022年11月27日(日)

戦後日本の具象彫刻の世界に大きな足跡を残した佐藤忠良(1912-2011)にとって、今年は生誕110年にあたります。宮城県に生まれ、北海道で少年時代を過ごした佐藤は、画家を目指して上京しますが、フランス近代彫刻に感銘を覚え彫刻家を志すようになります。東京美術学校(現・東京藝術大学)を卒業後、新制作派協会(現・新制作協会)を舞台に活躍する中、第二次世界大戦中に兵役で招集。戦後3年間のシベリアでの抑留生活を経て、帰国後制作活動を再開します。

生涯において70年に亘り制作を続けた佐藤ですが、制作年代ごとに作風の変遷をみることができます。初期の5060年代には、市井の人々をモデルに作品を手がけました。特に代表作《群馬の人》の発表によって、「日本人の手で初めて日本人の顔を作った」と評されるように、この頃の頭像作品は名作が揃っています。60年代からは自身の孫などをモデルにしたこども像、70年代以降は帽子シリーズをはじめとする、時代のコスチュームを部分的に取り入れた着衣像が見られ、年代によって佐藤の創作対象が変化していくのがわかります。

また、生涯を通してライフワークにしていたデッサンですが、90年代以降は樹木をテーマに描くようになります。常に自然の中に造形の手本を見出し、自然を知るためにはデッサンが必要だと説いてきた佐藤は、自然観察の中で眼と心のトレーニングを実践してきました。当時すでに80歳を過ぎていた佐藤は、老木に自身の姿を重ねていたと言い、その作品からは一人の作家が歩んできた人生が伝わってくるかのようです。

生誕110年を記念した本展では、前期展示で1950-70年代、後期展示では1980-2000年代の作品を中心に年代順に振り返ります。佐藤忠良という彫刻家の創作のあゆみをご一緒に辿っていただければ幸いです。

前期展示:621日(火)~94日(日)
後期展示:916日(金)~1127日(日)

会期中に展示替を行います。休館日についてはカレンダーをご確認ください。