驚異の部屋ってなんだろう?
今回の企画展「神聖ローマ帝国皇帝 ルドルフ2世の驚異の世界展」というタイトルをご覧になられて、「驚異の世界とはどんな世界なんだろう?」と思われた方もいらっしゃるのではないでしょうか?
展覧会をご覧になられ、ご存知の方もいらっしゃるとおもいますが、展示室内のエピローグは「驚異の部屋」というタイトルでしめくくられています。この「驚異の部屋」はクンストカンマーとよばれ、15世紀から18世紀にかけてのヨーロッパで作られていた様々な珍品を集めた博物陳列室です。15世紀のイタリアの諸侯や有力貴族の間で造られたことに始まり、16世紀にはドイツ語圏に伝わり、王侯貴族や文人の間でも造られるようになりました。そこには自然物、人工物を問わず様々な文物が納められていたといいます。
現在展示されている≪偉大なるローマ皇帝のクンストカンマーで見ることができる物品の1607年の目録』には都が置かれたプラハの宮殿におけるルドルフ2世のクンストカンマーの状況が記載されています。この目録は1607年に作成され、1611年のルドルフ2世が没する2年前までの記録が残され、実に2814点ものコレクションを所有していたことが知られます。
この目録は長らく失われたものとされていましたが、第二次大戦後に発見され、現存するルドルフ2世のコレクション目録のうち最古のものです。皇帝の在世中に作成されたこの財産目録の発見によって、それまで単に絵画の収集家とされていたところ、今や全ての知的領域に広く関心を持つ皇帝の姿が浮かび上がるようになりました。まさに貴重な歴史資料といえます。
3月21日に開催した展覧会もいよいよ折り返し時期になりました。
自らのクンストカンマーを最高水準の百科事典的なクンストカンマーにしたいという想いが綴られた貴重な目録や、
ルドルフ2世の収集した品々が展示室の床面に投影される演出など、みどころがもりだくさんです!
驚異の部屋「クンストカンマー」を再現した展示をぜひお楽しみください。