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展覧会

ZENGA 白隠と仙厓展
終了

2019年10月01日(火)~2019年12月01日(日)

佐川美術館では、秋季企画展として「ZENGA 白隠と仙厓展」を開催します。

江戸時代中期に活躍した臨済宗の禅僧・白隠(1685-1768)と仙厓(1750-1837)。両者ともに、衆生済度(迷いの苦しみから衆生を救い悟りの世界に渡し導く)の精神で、禅の普及に努めました。そして禅の教えや体験を時に厳しく、時にわかりやすく伝えようと、数多くの書画を残します。彼らの描く自由で豪放な書画は、一見するとユーモア溢れる筆致で描かれていますが、そこには痛烈な社会諷刺や謎掛けといった様々な仕掛けが散りばめられています。彼らの書画の根幹には、禅的真理の様態が表現されているのですが、一口に「白隠・仙厓」といっても、その実態は似て非なるものです。

白隠は達磨や祖師、白隠漫画と称されるさまざまな書画を手がけています。その中でも特徴的なのが、漢文の古典や禅録のみならず当時流行した謡曲や狂言歌謡まで、さまざまな賛が加えられているところです。「画(絵画)」と「賛(言葉)」、2つの要素から構成されることで、「形を超えた」禅の真理を表現することに成功したのです。

一方、仙厓の手がけた書画は、白隠同様に神仏や聖人は勿論のこと、風俗画、動物画、果てには戯画に至るものまで、聖俗あらゆるものがモチーフとして描かれています。「世の中の絵画には法があるが、仙厓の絵には法は無い」という「厓画無法」を宣言したように、様々なモチーフを用いて、白隠よりも親しみやすく禅的真理を視覚化したと言えます。

本展では、現代人にとって単純に「ゆるくてかわいい」と思える彼らの書画から、本来伝えるべきそのメッセージを読み解くことで、禅画(ZENGA)の魅力をご紹介するとともに、改めて二人の禅僧の違いをご覧いただきます。

 

 

白隠慧鶴

白隠は駿河国原宿(現在の静岡県沼津市)の問屋の家に生まれ、幼時に近所の寺で聞いた地獄話に戦慄したことを契機に、15歳で郷里にある松蔭寺で出家し、「慧鶴」と名付けられます。諸国行脚の修行の後、31歳で松蔭寺の住職となり、その後も全国を巡って布教活動を行う中で、四弘誓願(仏の道を求める者が最初に立てる四つの誓い)の重要性を説き、その実践とともに精力的に禅の教えを広く伝える布教につとめます。その功績から「臨済宗中興の祖」と呼ばれ、「五百年間出」(五百年に一人の傑物)と讃えられています。

現在に至るまでの臨済禅の法系は、全て白隠に帰着するほどの人物でありながら、京都の大本山から遠く離れた地で活躍し、白隠は生前より著作物(語録等)を刊行するとともに、おびただしい数の書画を描いて、大名から庶民に至る多くの人を教化したことも特筆されます。

白隠は釈迦や達磨をはじめ、布袋などの民間信仰にもとづく様々な書画を手がけています。その中でも特徴的なのが、古典や禅録のみならず当時流行した謡曲や狂言歌謡まで、様々な賛が加えられているところです。「画(絵画)」と「賛(言葉)」、2つの要素から構成されることで、「形を超えた」禅の真理を表現することに成功したのです。

 

白隠《蓮池観音》 江戸時代(18世紀) 個人蔵

 

 

仙厓義梵

仙厓は美濃国武儀郡(現在の岐阜県関市)の農家の次男として生まれます。11歳の頃に美濃・清泰寺の空印円虚のもとで得度し、「義梵」と名付けられます。その後19歳ではじめて行脚の徒につき、武蔵国、東輝庵の月船禅慧に師事します。師の没後、32歳で諸国を行脚し、38歳のとき九州博多の聖福寺第122世・盤谷紹適の弟子となり、40歳でその跡を継いで聖福寺の住職となります。「扶桑最初禅窟」の後鳥羽上皇親筆による勅額が山門に掲げられた聖福寺は、建久6年(1195)に南宋より帰国した臨済宗の開祖・栄西禅師によって創建された寺院で、文字通りわが国最初の禅寺とされています。聖福寺は、栄西禅師ゆかりの由緒ある寺院でしたが、仙厓が住持となった当時は、伽藍は荒廃しており、62歳で弟子の湛元等夷に住持職を譲るまで、伽藍の再整備と弟子の育成につとめながら、数多くの書画を手がけました。

仙厓の手がけた書画は、白隠同様に仏教や民間信仰の神々は勿論のこと、庶民のくらしを描いた風俗画に至るまで、聖俗あらゆるものがモチーフとして描かれています。「世の中の絵画には法があるが、仙厓の絵には法は無い」という「厓画無法」を宣言したように、様々なモチーフを用いて、白隠よりも親しみやすく禅的真理を視覚化したと言えます。

 

 

 

仙厓 《天狗図》 江戸時代(19世紀)福岡市美術館(石村コレクション)蔵

 

 

 

■白隠と仙厓展出品作品リスト

 

 


 

■イベント情報

記念講演会

講師:芳澤勝弘氏(本展監修者、禅学・禅宗史研究家)

日時:10月6日(日)、11月3日(日) 両日とも14:00~

場所:樂吉左衞門館ロビー

定員:100名(先着順)

 


 

■本展の展示構成について

本展に出品されている白隠及び仙厓の作品は、全国の寺院、美術館、博物館、個人所蔵家の貴重な所蔵品によって構成されています。

特に仙厓作品については、日本屈指の仙厓コレクションを有する福岡市美術館の所蔵品及び寄託品で構成されています。

普段見ることができない貴重な白隠と仙厓の書画を是非ご覧ください。

 

 

博多の仙厓さんに会いに行こう!

福岡市美術館

「仙厓-小西コレクション」

会期:2019年10月1日(火)~12月1日(日)

2016年度に小西昭一氏より寄贈された、仙厓の書画及び遺愛の品々を紹介。初公開の作品も多く、博多の仙厓さんの新たな一面を是非ご覧ください。

公式ホームページ