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展覧会

平山郁夫 大いなる自然
終了

2019年07月10日(水)~2019年09月23日(月)

2019年度平山郁夫館第Ⅱ期展示は、平山郁夫が描いた作品の中から、「自然」に焦点を当ててご紹介します。

生涯にわたり、世界各地を訪れ、その風景を描き続けた平山郁夫。平山は心の中にある詩情の精神によって、美しいと感じた自然を心おもむくままに筆を走らせ、情感こめてシルクロード各地の自然風景を描きました。

幾度と無くシルクロードを旅し、目の前に広がる果てしない砂漠の世界に魅入られた平山は、砂漠とラクダをモチーフにした作品を数多く手がけています。1966年に東京藝術大学中世オリエント遺跡学術調査団の一員としてトルコのカッパドキア地方に派遣され、イヒララという村を訪れた際、あたりに何も無く、荒涼と広がる砂漠を目にします。スケッチを繰り返すうちに、平山は砂漠の見せる表情の変化に気付きました。わずかな太陽光線の違いで色や形、質感が変わり、この変化のなかに人間の営みや歴史のうつろいがあることを感じたと言います。

 

「初めてのシルクロード、初めての砂漠の生活でしたが、厳しい自然と闘いながら四ヶ月のキャンプを体験して得た実感は、かけがえのない財産になりました。」

平山郁夫 『絹の道から大和へ―私の仕事と人生―』 1992年 講談社

 

平山は風景を描く際、画家自身の自然に対する感情や情緒が含まれなければならないと語ります。旅の中で得た自然観により、情感豊かな風景画を数多く手がけたのです。

また、平山は中国の蘇州や日本の古社寺の風景に見る豊かな水辺、鬱蒼と茂る木々などの自然の景物も描いています。本展では、「砂漠」、「水」、そして「豊かな緑」という3つのモチーフから、平山が画業を積み重ねる中で醸成した自然観に迫ります。