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展覧会

佐藤忠良 ポーズへの探求
終了

2020年04月04日(土)~2020年06月28日(日)

2020年度第一期展示では、佐藤忠良のブロンズ作品の中から、ポーズに焦点をあてて展示いたします。

彫刻を作る際にモデルにどのようなポージングをさせるかは、制作工程においてその作品のテーマが決まる重要な過程といえます。人間には顔や胴、そして手足が備わっていますが、これらのパーツの交わりや、微妙な向きなどの組み合わせ方によって、作品全体の印象が変化します。このことからも彫刻家にとって、ポーズとの闘いは逃れられない永遠の課題といえるでしょう。

佐藤忠良は、空間を意識した造形的な女性像の構築をめざし、様々なポーズに挑戦しました。例えば≪翳≫という作品では、女性が腰を曲げ、両手で髪を掴むポーズをとっており、女性的なしなやかさが際立つ造形になっています。この手と髪の交わりによって輪郭の内側に隙間、いわば新たな空間が生まれ、鑑賞者の視点を内側へと引き込みます。また佐藤は、脚を交差させたスタイルの像を多く制作しています。シンプルなポーズですが、片足を一歩前に出すことで脚と脚の間に奥行きが生まれ、正面、側面、そして背面へと見てまわると、正面のシルエットからは予想できないほどの、姿形の多様な変化が見られます。見る角度によって別のポーズを発見するような様々な表情をみせ、造形的な存在感を醸し出すことに成功しました。このように佐藤の作品は、全体のバランスを保ちつつ、空間性を意識したフォルムであり、一見シンプルながらも鑑賞者を惹きつけます。

本展では脚の先から手・首に至るまで、身体のパーツひとつひとつに込められた細やかなこだわりと、作品からうかがえる、佐藤の飽くなきポーズへの探究心をご覧ください。

 

 

本展示のジュニアガイドはこちらからダウンロードください。

佐藤忠良2020年度①ジュニアガイド

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