展覧会

山下清の東海道五十三次
開催中 更新

2020年07月04日(土)~2020年08月30日(日)

放浪の画家」として親しまれ、多くの人々に愛されてきた山下清(1922-1971)の放浪の旅は、18歳を迎えた頃から始まりました。旅先でみた風景は無意識のうちに自らの脳裏に焼き付けられ、旅から戻ると、記憶をもとに作品を手がけたといいます。代名詞ともいえる貼絵作品が次第に国内で高い評価を受けるようになった山下が、いつまでも世に残る大作にしたいという想いで描いた作品が《東海道五十三次》です。制作にあたり「ゆっくり旅ができるのならやってもいいな」と思い立った山下は、東京を皮切りに京都までの旅を約5年間続け、何度も訪れた東海道各地の思い出や感想を語りながら、作品を次々に仕上げました。本展では、山下の旅への想いが込められた遺作《東海道五十三次》の全場面をご紹介し、人情味あふれる彼の作品がもつ魅力に迫ります。

《瀬田の唐橋(大津)》制作年不詳 (C)清美社


■遺作・東海道五十三次の全場面を公開

山下清は42歳(1964年)から《東海道五十三次》の創作を始めて取材とスケッチの旅を続け、5年後の1969年に旅を終えました。本来は山下の代名詞ともいえる貼絵となる予定でしたが、愛知の熱田神宮の素描画を描き終えた時点で眼底出血をおこし、制作を中断せざるを得ない状況に陥り、その後脳出血により49歳で急逝します。誰もが未完だと思っていた《東海道五十三次》は、彼の他界後に三重の桑名から京都までの残り13枚がアトリエから発見されました。貼絵にこそならなかったものの、最後の大作となったのです。

《熱田神宮(名古屋)》制作年不詳 (C)清美社


■現代と江戸時代の東海道五十三次


彼の画業で特筆すべきは、その驚異的な記憶能力でした。旅の間にはほとんど絵を描かず、旅先でみた風物を脳裏に鮮明に焼き付け、旅を終えた後、ほぼ自分の記憶によるイメージをもとに描きました。山下のフィルターを通して描かれた純粋で温かな風景は、どこか懐かしい気持ちを彷彿させる日本の原風景を思い起こさせます。本展では山下の遺作《東海道五十三次》全55点と、作品に添えられた素朴で飾り気のない山下のコメントを彼独特の世界観とともにお楽しみください。



《皇居前広場(東京)》制作年不詳 (C)清美社



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