バンクシー&ストリートアーティスト展 ~時代に抗う表現者の声よ響け
2022年03月12日(土)~2022年06月12日(日)
※本展の料金で、「藤井フミヤ展」「常設展」もご覧いただけますので、ご予約の際はご注意ください。
1970年代、ニューヨークのダウンタウンを舞台に描かれたグラフィティ(落書き)に起源をもつストリートアート。当時、貧困やベトナム戦争、ギャングの抗争など社会不安の渦巻くなか、若者たちは街中の建物に社会への反発のメッセージを縦横無尽に描きました。人種差別など社会に対する「反抗の文化」と呼ばれるヒップホップ文化において、グラフィティはブレイクダンスやDJなどと共に生み出されたものなのです。一大社会現象となったグラフィティの勢いはとどまることを知らず、やがて世界を席捲することになります。
ストリートアートの申し子・バンクシー。イギリスを拠点に活動する謎多きアーティストは、建物の壁や動物園、ホテルなどあらゆる場所に突如として現れた作品から、時に「芸術テロリスト」とも称され、今や世界的に注目を集めています。政治的なメッセージ、社会への風刺が含まれたダークユーモアな表現は大きな反響を呼び、多くのメディアに取り上げられたことから、バンクシーの名前は誰もが聞いたことがあるというように、今や時代の"ポップアイコン"となりつつあります。
本展ではこれまであまり注目されることのなかったグラフィティ文化の潮流や、ストリートアーティストたちによる様々な表現技法をクローズアップし、バンクシーを入り口にストリートアートの本質に迫ります。
展示構成
バンクシー以前 :グラフィティの時代
全てのストリートアーティストの父であり、当時『ニューヨーク・タイムズ紙』で初めてその名が取り上げられたタキ183をはじめ、シーン、パートワン、ポエム・ワンたち先駆者の作品をご覧いただきます。グラフィティがストリートアートへ発展を遂げたその過程をご覧ください。
バンクシーとストリートアートの進化
全米はもちろん、1990年代にはヨーロッパや日本でも次第に注目を集めるようになったグラフィティ。当時、スプレー缶以外にも様々な画材が用いられるようになり、言わばストリートアートの爛熟期を迎えつつありました。TVBOY(TVボーイ)やANDREA(アンドレア) RAVO(ラヴォ) MATTONI(マットーニ)など、次世代の担い手となったストリートアーティストを紹介します。
インスピレーションの始まりと根源
ストリートアートが進化を遂げる中、登場したバンクシー。キース・へリング(1958~90)やジャン・ミッシェル・バスキア(1960~88)、アンディ・ウォーホル(1928~87)のような独自の路線を切り開いた作家たちを意識し、創作活動を続けました。バンクシーが自らの表現様式を確立させた原点を振り返ります。
バンクシー:作者、アーティストを超えて
グラフィティ作家としての活動のみならず、テーマパークやイベントの企画、CDジャケットのデザインを手がけるなど、様々な分野でバンクシーは活躍しています。特に、故郷のイギリス・ブリストルで流行したアメリカのヒップホップやジャズに影響を受けた歌手の音楽活動に深い理解を示しています。グラフィティ作家とはまた異なるバンクシーの一面にスポットを当てます。
バンクシー:制度に対する芸術
バンクシー芸術の真髄ともいえる社会や政治に対する風刺、批判を掲げた作品の数々を紹介します。世界各地で引き起こされた紛争や人種差別に対する想いなど、作品に託されたバンクシーの真のメッセージに迫ります。
本展の注目ポイント
本展ではバンクシー作品約60点の他に、世界的に有名なストリートアーティスト、約30名の作品を紹介します。
壁に直接スプレーを用いて描く基本的な「ペインティング」もあれば、薄い紙、段ボールなどにあらかじめ絵を描き、糊で壁面に貼り付ける「ペーストアップ」という技法を用いる場合もあり、アーティストによって表現技法が異なることもストリートアートならではの醍醐味です。
バンクシーのみならず、魅力あふれるアーティストたちの夢の協演をぜひお楽しみください。