平山郁夫 佐藤忠良 作家の仕事
2022年03月12日(土)~2022年06月12日(日)
作家はイメージした完成形を目指して制作するにあたり、まずは基礎となるスケッチやデッサンを重ねて構想を練り、やがて全体像を形成していきます。特に大型作品を制作する場合は、構想をまとめるための「設計図」的役割となる下絵や試作品が必要となり、その制作工程は多岐に亘ります。日本画家・平山郁夫や彫刻家・佐藤忠良も芸術分野は違えども、完成させる瞬間までのプロセスを大事にし、日々の創作活動に取り組まれてきました。
平山郁夫の場合は、シルクロード各地の取材や現地でのスケッチを基に、自身のアトリエで全体の構図、描く対象物の線や色彩のイメージをまとめ、それをベースに本画や素描作品を描いていきます。時として本画と素描で同じ視点で描かれたものもあり、平山が好んで描いた構図を推察できます。また、《天堂苑樹》などの大型作品を制作する前に描く「小下絵」からは、本制作品と比較することで、完成に至るまでどのように全体の構図などを考えたのか、その過程をうかがうことができます。
佐藤忠良の場合は、彫刻という立体造形ではありますが、制作にあたってまず取り掛かる作業は絵画作品と同じくデッサンでした。佐藤は人や静物、自然といった対象となるものをつぶさに観察し、日々スケッチをすることで深い洞察力を養ってきました。一体の彫刻を制作するにも何枚、何十枚とデッサンを重ね、モデルの表面的な特徴だけではなく、人間性といった内面的な要素までも彫刻で表現しようとしたのです。
本展では、平山、佐藤二人の作家の作品を一堂に公開する初の試みとなります。二人の作家が創作にかけた思いを、作品を通して感じ取っていただければ幸いです。