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展覧会

佐藤忠良 彫刻家のアトリエ
開催中

2024年06月15日(土)~2024年12月08日(日)

戦後、佐藤忠良は代々木上原(1951-59)と永福町(1959-2011)の2か所に自邸を構え、併設されたアトリエを拠点に制作活動を続けました。1951年、佐藤は念願叶って初めて代々木上原に生活空間から独立したアトリエを構えます。ここでの制作について「アトリエができてしばらくは、やはり興奮していたのか、作品が予定寸法より大きめになってしまって困ったことがある。」(『つぶれた帽子』1988年、日本経済新聞社)と後に振り返っています。佐藤は自身のアトリエを持つまでの間、自宅では小品しか制作できず仲間のアトリエを巡りながら仕事をしていたと言い、環境の変化によってのびのびと制作に打ち込めるようになった様子がうかがえます。

また、身近な人物を彫刻の題材に取り上げた佐藤にとって、転居に伴う新たな人との出会いは制作活動にインスピレーションを与えました。代々木上原では、毎日のようにアトリエに顔を出していた群馬県出身の詩人・岡本喬との出会いをきっかけに、自身の出世作となる《群馬の人》(1952)を制作します。一方、永福町では教鞭をとった東京造形大学の一期生で後に助手とモデルを務める笹戸千津子との出会いを機に、《帽子・夏》(1972)をはじめとする日常的なコスチュームを身に纏った女性像という新たなスタイルを確立していきます。

制作環境の変化や新たな人物との出会いは、作者にどのような影響を及ぼしたのか。本展では、その変遷に焦点を当て作品を展観します。アトリエの様子や、モデルや他の芸術家たちとの交流といった制作背景と併せて作品をご鑑賞いただき、作者の創造の源泉に触れていただければ幸いです。