佐藤忠良 響き合う彫刻
2025年05月15日(木)~2025年09月28日(日)
佐川美術館は、宮城県美術館・佐藤忠良記念館、札幌芸術の森美術館・佐藤忠良記念子どもアトリエに並び、彫刻家・佐藤忠良の名を冠した展示室を有する美術館として佐藤芸術を広く紹介しています。佐藤の彫刻作品は、絵画における連作のように複数点まとめて鑑賞することを前提に制作されたものではありませんが、作者自身が「何度か大きな展覧会を開いて、制作年代順に並べてみると、まことにそこはかとなく、自分の歩いてきた足跡のようなもの、その頃を自分でも背負ってきたのだなという移り変わりに気がつくことがある。」(『つぶれた帽子』1988年、日本経済新聞社)と語るように、年代やテーマ毎に並べることで見出せる気付きや作品同士の調和があります。
また、1970年代の末頃から自作が美術館やギャラリーだけでなく公園などの野外空間に設置されるようになると、佐藤は自然や周囲の景観との融合を意識して制作に取り組むようになります。当館で屋外に設置している《蝦夷鹿》(1971年)、《冬の像》(1985年)、《萌》(1997年)の3点も当初より野外展示を想定して制作されており、景観にマッチした造形美によって四季の移ろいとともに変化する表情をご覧いただくことができます。さらに、佐藤忠良館第4展示室には作者の意向を踏まえて美術館としては珍しく窓が設けられ、窓越しに見える風景と作品の調和を楽しむこともできます。
本展は「響き合う彫刻」と題し、作品同士の共鳴や作品と風景の調和によって、作者が表現しようとした世界観を更に引き出そうとする試みです。類似したテーマやポーズ、同じ人物をモデルにした作品をグルーピングして展観することで、作品同士の調和によって生み出される展示空間をお楽しみいただければ幸いです。