佐藤忠良 子どもと女性像
2026年09月17日(木)~2026年11月23日(月)
ロダンやマイヨールなど、フランス近代彫刻に感銘を受けて彫刻家を志した佐藤忠良。本展では、フランスを活動拠点とした藤田嗣治の回顧展「生誕140周年 藤田嗣治 7つの情熱」にちなみ、佐藤が藤田と同じく情熱を傾けた「子ども」と「女性」のモチーフに焦点を当てます。
子ども像
1950年代、市井に生きる日本人をモデルにした作品で頭角を現した佐藤ですが、1960年代になると新たな表現として、子どもをモデルにした作品が加わります。そのきっかけは、友人で画家の朝倉摂の娘・亜古を預かるようになったことでした。亜古をモデルに数多くの作品が生み出され、子どものさり気ない仕草を捉えた一連の作品群は、のちに「小児科」の時代と呼ばれるようになります。
人生を耐えてきたような皺も骨格の歪みも何もない、純真な、純粋な顔をしているぶんだけ、かえってむずかしいと思いますね。
佐藤忠良 『子どもたちが危ない-彫刻家の教育論-』(岩波書店、1985年)
女性像
1970年代に入ると、東京造形大学の教え子で卒業後に助手としてアトリエに通い始めた彫刻家・笹戸千津子をモデルに、ジーンズやブラウス、帽子などの日常的なコスチュームを身に着け、自然体のポーズをとる女性像で独自のスタイルを確立します。笹戸は30年以上にわたり休日も関係なく佐藤のアトリエに通い続け、助手やモデルを務めながら共に制作に励みました。こうして笹戸と積み重ねた日々が、ふとした瞬間の美しい佇まいを捉えた一連の女性像を生み出しました。
《帽子・夏》(1972年)は、美しいものをほんとうに美しいものとして、現代のなかの健康な美しさをためらわずに作品にしようとしてつくったものです。
佐藤忠良 『子どもたちが危ない-彫刻家の教育論-』(岩波書店、1985年)
空想上の子どもと愛する女性を描いた藤田と比較すると、両者は同じモチーフを扱いながらも、モデルとの関係性には違いが見られます。本展では、佐藤の身近な子どもや女性をモデルに制作した作品と共に、モデルについて語った言葉も併せて展観し、作者とモデルたちの関係性を紐解きながら「子どもと女性像」の本質に迫ります。


